LITHOGRAPH POSTER
LITHOGRAPH POSTER リトグラフポスター
リトグラフとは
リトグラフは、石版石(石灰岩)や金属板の平らな版面を、油性インクを引き付ける部分と水分を維部分に化学処理で分離し、水と油の反発作用を利用して専用のプレス機によって刷る版画技法です。版面に直接書いた絵を、ほぼそのままに紙に刷り取れるのが特徴です。

リトグラフポスターとは
ポスターというと、所詮大量生産されたもので本物ではないという認識の方がいますが、そんなことはありません。今でも世界中にコレクターが存在し、美術品として扱われている作品も数多くあります。グラフィックデザインが誕生した19世紀後半から、アーティスト自身が制作したポスターはアートポスターと呼ばれ優れた作品がいくつも生まれました。20世紀に入り、写真製版画技術が発達すると共にポスターは大量に制作されるようになる一方、画家の手によるアートポスターは減少の一途を辿りました。

ムルロー工房
そんな中、アートポスター復活の気運が生まれ、新たな息吹を吹き込もうと試みたのが、ムルロー工房をはじめとするパリのリトグラフ版画工房でした。ムルロー工房は、マティス、ピカソ、シャガール、ミロなど当時気鋭の現代画家を自らの工房に招待し、リトグラフのワークショップを開催すると、画家たちはリトグラフの質の高さに驚愕し、石板に直接描画できるリトグラフという技法に魅了されました。

ムルロ工房は、近年までリトグラフの制作を行ってきましたが、ベルナール・ブッフェやカシニョール、カトランといった作家を最後に、リトグラフの手間やコスト、優れた工房の職人の高齢化などの理由で2000年に閉鎖することになりました。現在では、ムルロー工房制作のリトグラフの希少性がますます高まっています。